映画『流浪の月』伏線と疑問点のまとめ

映画「流浪の月」 伏線と疑問点
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本屋大賞受賞小説の映画『流浪の月』の伏線と疑問点について解説します。

今回紹介するのは下記の「4つ」

  1. 大人になっても悪夢にうなされる主人公更紗(さらさ)
  2. 文の死んでも知られたくない秘密
  3. 更紗の恋人の亮が自傷行為をするシーン
  4. 文の母が出所後の文の世話を続けた理由
目次

大人になっても悪夢にうなされる主人公更紗(さらさ)

小学生の時も大人になった時も更紗(さらさ)はよく悪夢にうなされています。なぜうなされ続けているのか。

父は病で亡くなり、母は新たな彼氏と過ごす中、おばの家に預けられていた小学生の更紗。

おばの息子のたかひろから毎晩セクハラを受けることで心に傷を負っていましたが、誰にも言えずにいました。

そんな苦しい思いと「夜中になるとそいつ(たかひろ)が(夢に)現れる」と文(ふみ)に打ち明けるシーン、更紗の恋人である亮(りょう)との恋人らしいコミュニケーションに更紗が乗り気ではないシーンから、悪夢の原因は小学生時代の苦しい経験がトラウマになっており、その経験からか更紗自身が恋愛に対して前向きではないことがわかります。

文の死んでも知られたくない秘密

小学生の更紗が文の家に居候し自由に生活しているとき、更紗が行方不明者として騒動になっているニュースを二人はテレビで見ます。

更紗は文が逮捕されることを恐れ、文自身も「逮捕されるのは良くない、“死んでも知られたくない秘密”が世間にバレる」と言いますが、帰りたくないならここにいればいいと更紗を引き止めました。

この“死んでも知られたくない秘密”とは何なのでしょうか。

後日、誘拐犯として捕まった文は、小学生の女の子を誘拐したとしてロリコンと世間に非難されます

また、文が中学生くらいの頃の回想シーンでは、文の母親が、成長が止まって枯れそうな木を「はずれだった」と言って捨ててしまうのを文がじっと見つめる場面があります。

文は大人になって、改めて母に「昔、成長が止まって捨てた木と、僕は同じ、はずれなのか」と問いただします。

ここまで見ると、文はロリコンだったが故に親に見放されたのか、知られたくない秘密とはロリコンであることなのかと考察しました。

しかし、この映画のラストシーンで大人になった文は更紗に“死んでも知られたくない秘密”を打ち明けます。それは自分の体が成長しても男性器だけが子供のままで成長しない病気であることでした。

親から見放され、同世代の人たちと同じように成長できない、他とは違う自分が一番のコンプレックスだった文は、誘拐犯になることよりも抱えてきたこの病気を世間に知られることの方を恐れたのでしょう。

更紗の恋人の亮が自傷行為をするシーン

DV気質で亭主関白な亮から、更紗は次第に離れていき、亮はそんな更紗をつなぎとめるために文と更紗を引き離そうとします。「過去事件になった誘拐犯と誘拐された女の子の今」を写真でネットに晒し、しまいには週刊誌に載ることにもなります。

そんな亮への最後の挨拶として更紗は亮の家を訪ねた際、仕事にも行かずやつれた姿の亮を見て、今までの感謝と謝罪を述べ家を出ます。

亮は出て行った更紗を追いかけながら、ナイフで自らの体を傷つけ自傷行為に走ってしまいます。

更紗は救急車を呼び、運ばれる亮に付き添いますが、亮は「もういいから」と更紗の同行を断ります

自傷行為をしておきながらなぜ最後には更紗を突き放したのでしょうか?

恐らく、どれだけ自分が愛しても文しか見ていない更紗に、自傷行為をすることで最後は自分のことだけを見てほしいという愛の重い亮の気持ちがあらわれたのではないかと考えます。

その結果、最後は更紗が自分を心配してくれていること、更紗に執着してダメになってしまった自分をわかったうえで、「もういいから」と更紗との別れを決意したのではないでしょうか。

文の母が出所後の文の世話を続けた理由

文は少女誘拐事件で逮捕され出所した後、実家の裏に作られたざっとした隠居のようなところで過ごします。

常識主義だった文の母が罪を犯した文を監視するため、実家の裏に隠居を設けていたのでした。

しかし、文が更紗にその当時のことを話すとき、母は監視するために自分を閉じ込めてたと言いながら、規則的にご飯は作ってくれたと話します。

なぜ犯罪を犯した息子を見放さず、実家に呼び戻してまで監視しご飯を作って世話をしたのでしょうか。

ここには母の罪悪感と責任も含まれているのではないかと考えます。

文が抱える病気は、産んだ自分(母親)の責任でもあり、そのような体に産んでしまった罪悪感を感じているのではないでしょうか。ロリコンで犯罪に走ったのも成長しきれない病気のせいか、と母は考え、見放さず責任をもって世話をすることにしたのではないかと思います。

また文が、昔実家で成長しなくなった木と自分の抱えた病気を重ねて、母に「昔、成長が止まって捨てた木と、僕は同じ、はずれなのか」と問いただした場面では、文の母は何も答えず文の顔を見ることもしませんでした。

この場面からも、母としての罪悪感を感じているのではないかと考えます。

以上が映画『流浪の月』の伏線と疑問点でした。

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映画『流浪の月』のあらすじ

雨の夕方の公園で、びしょ濡れの10歳の家内更紗と出会い、家に招き入れた孤独な大学生・佐伯文。引き取られている伯母の家に帰りたがらない更紗はそのまま2カ月を過ごすことに。ほどなく文は更紗の誘拐罪で逮捕されてしまう。15年後、2人は偶然再会し…。

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誘拐犯と誘拐された女の子として、世間から白い目で見られ二人は何度も突き放されそうになりますが、二人は互いの存在を求め合い、必ずどちらかのもとへ訪れます。

一度起こった事件に囚われ、普通の生活を送ることができない二人が、どのように世間からの非難を乗り越え、最後それぞれがどのように過ごしていくのか、ラストシーンにも注目していただきたいです。

また、悩みを抱えながらロリコン誘拐犯を疑われるという複雑な役を演じた松坂桃李さんの演技や、愛が重いDV男を演じる横浜流星さんの演技の迫力も注目ポイントの1つです。

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まとめ

映画『流浪の月』の伏線と疑問点について解説しました。

  1. 大人になっても悪夢にうなされる主人公更紗(さらさ)
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